やべさだのり矢部定謙
矢部定さん
※矢部家はもと駿河の豪族で、今川軍から徳川旗本に入った家筋。大塩平八郎は今川子孫を名乗っていて、高井山城守も今川家臣の末裔。 なんか旧今川系のサークルでもあったのだろうか?
定謙は寛政元年生まれ、300俵取りの軽輩から異例の出世を遂げ(ワイロも使ったと自分で言っている)、 火付盗賊改などを経て大坂西町奉行になる。間宮林蔵と竹島事件を摘発したり、堂島市場に介入したりバリバリ働く(このころ腹心だったのが内山彦次郎)。 しかし大塩には良く思われていなかった。
江戸に戻って勘定奉行をやっている時に大塩の乱が起きる。矢部の方では大塩を親友と思っていたが、大塩は老中への手紙で矢部を弾劾しまくっていた。 よくあることだ。友情が昂じてか、大坂落城とか言いふらしていたのもこの人。
水野忠邦の庄内・川越・長岡トリプル転封計画を邪魔して一時左遷。 しかしやはり得難い人材なので南町奉行になる。しかし鳥居耀蔵の謀略に陥れられまた失脚した。天保十三年配所先で没。
桜田門外の変のとき井伊家を困らせていた遠藤但馬守さんは、かつて矢部定と武士の出処進退について話したことがある。
「もし私がおもわぬ冤罪で調べらるるとしましたら、如何にすべきでござりましょう。必ず事実を包み隠さず、幾度問わるるも屈しますまいと思いまする」
「最初の調べにその情を尽くし述べるはよいであろうが、再三とならば君上の不明を証拠立てする恐れがないでもない。しかる後は己を枉げて服従する。それが君子の道であろうと私は思う」
「なるほどさようでございました」
のち彼罪を得るに及んで、果たしてその言を守って違わなかった。・・・おまえのせいか!遠藤!
※田村正和版「若さま侍捕物帳」では中村梅之助が演じていて、若様を後見する役回り。この人は別の番組で遠山金四郎も演じている。
※※松村昌治監督「浪人市場・朝やけ天狗」では名優山村總が演じている。話の都合上江戸で自宅謹慎してる設定。あと市川右太衛門も近衛十四郎も東千代之介もみんな無職ニート。 すごい失業率だ!
十五227-228十六56,97,114-128,166,179-212,228,274十七219-220,258十八61,145
幕末十九25
A・C・松岡英夫「鳥居耀蔵」(1991.中公新書)・「大塩平八郎建議書」(1991.文献出版)・森銑三「偉人暦続編下」(1997.中公文庫)
遠山金四郎/徳川家慶/水野忠邦/高井山城守/ 五年前の南町奉行/大塩平八郎

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