たかみせんせき鷹見忠常
天明五年生まれ。天保二年より古河藩家老。主君は土井利位、同僚に市河米庵。
古河藩では古くから腑分けに関心を持っており、泉石も若い頃は 天真楼塾に出入りしていた。長じてのちも蘭学の理解者として崋山たちと交友する。しかしこういう頼もしそうな人がイザというとき頼りにならないのは世の常である。
天保八年、主君が大坂城代の時大塩の乱が起こり、召し取りの指揮者になる。幕府に表彰された晴れ姿を描いたのが渡辺崋山の肖像画であった。これで歴史に残ったのに、 蛮社の獄で崋山助命に動いた形跡はまったくない。
晩年まで幕府に建白書を出したりしていたが、安政五年没。
※「鷹見泉石像」は幕末の日本画で唯一の国宝だが、当然美化が入っているだろう。崋山は同時期に「笑顔武士像稿」という作品があり、こっちが素顔という説もある。
十四249,270,286
A・杉浦明平「崋山探索」(1998.同時代ライブラリー)・「渡辺崋山・秘められた海防思想」(1994.ぺりかん社)・片桐一男「杉田玄白」(1971.吉川弘文館人物叢書)
土井利位/杉田玄白/渡辺崋山/大塩平八郎

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