どいとしつら土井利位
刈谷藩土井家の四男として寛政元年生まれる。土井利勝の子孫の分家だが、実際の血縁では伊達宗村の孫に当たる。文化十年、古河藩土井本家の養子になった。
天保八年、大坂城代をやっているとき大塩の乱勃発。何もしていないが鎮圧の功を賞された。
家老の鷹見泉石に影響され蘭学に興味を持ち、顕微鏡を購入。 雪の結晶を観察した「雪華図説」を著す。この観察を可能にしたのは天保飢饉につながる大寒波なのだが、雪の研究を冷害対策に応用するとかそういうことは全然なく、単に 六角形が好きだったみたい。とにかくこの本が鈴木牧之「北越雪譜」を経由し江戸に雪華模様ブームを起こしたのだった。
こういう開明的な人なら反動水野の 政治を正してくれるだろうと、天保十四年筆頭老中に就く。しかし一見モノワカリが良さそうな人を首相にしたら何もできないでやんの、というのは今も昔も変わらない。 江戸城火事での不手際などで信任を失い、再び水野忠邦に政権を譲った。嘉永元年没。
映画「十三人の刺客」では明石藩主暗殺指令を下す役。
十七194-195,272-273
A・B・C・野口武彦「幕末バトルロワイヤル」(2007.新潮新書)・金子務「江戸人物科学史」(2005.中公新書)・北島正元「水野忠邦」(1969.吉川弘文館人物叢書)
土井利勝/水野忠邦/徳川家慶/伊達宗村/鷹見泉石

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