はないとらいち花井一好
もとは幕府の小納戸方小人、十五俵一人扶持。幕臣ともいえない最低の身分から苦学し、宇田川榕庵(人間百科事典みたいな何でも知ってた蘭学者)に師事。 「硝子製法」を出版し最上徳内に序文で絶賛される。ガラス技術者としては一流だったのである。その他に300以上の著作があったそうだが戦争などで大半が失われたという。
本当の尚歯会とはまったく別の所で、順宣たち町人数名と小笠原渡航計画を語っていたのだが、花井の訴状が鳥居の手を経て幕府に届いた時にはなぜか崋山たちの名が入っていた。 どん底から這い上がるため、腹をくくって悪魔と取り引きしたのではないか。
事件後長崎奉行所与力に出世、中島硝石製煉局を立ち上げる。 鳥居派崩壊後は薩摩藩に拾われて薩摩切子の生産に貢献したようだが、嘉永以降の消息が不明。
※どうしても花井に天誅が下るところを見たいという人には「必殺からくり人」第12話をどうぞ。出てくるなり緒形拳に秒殺されます。
※※花井には墓マイラーの趣味もあり、 いろんな人の墓のありかを調べ記録した随筆がある。大黒屋光太夫や磯吉などの没年・本名はこれでわかる。
十五163-168,234-235,263十七86-87,207-209,272十八24-26,58,269
綱淵謙錠「ひとり旅」(1987.中公文庫)・由水常雄「ガラスと文化」(1997.NHKライブラリー)・田中弘之「『蛮社の獄』のすべて」(2011.吉川弘文館)
高野長英/渡辺崋山/小関三英/順道/本庄茂平次

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