かの国際人Mr.モリソン、モリソン船長だかモリソン丸だかロバート=モリソン
日本には一度も来ていないが、何人かの日本人の運命を変えた人。漢字で書けば「馬禮遜」。
1784年イギリス生まれ、長老派教会ロンドン会の牧師になる。 それまでカトリックと東方正教の縄張りだった中国へ、プロテスタント開拓の魁となって1807年に来中。
布教のために学んだ中国語のスペシャリストとなり、 イギリス東インド会社の通訳官も兼任。文法書や辞書を編纂した。本業での最大の仕事は聖書の漢訳出版(1823年)である。しかしここで”God”をザックリ「神」と訳したことが、 一神教と多神教の違いとか今に至るまで論議のもとになったのだった。アヘン戦争の前、1834年に没。
英国東インド会社は宣教師モリソンの功績を記念し、新造船にモリソン号と名付けた。 それにモリソンの友人が乗り込んで日本に行き、沿岸の漁師にモリソン訳聖書を渡したという。これでは誤解を招いてもしかたないな。モリソン号事件での幕府を批判し「夢物語」を書いた高野長英は、 モリソンが船名であることは知っていたようだが、幕府を脅かすためわざとミスターモリソンと混同したらしい。
息子のジョンは親の跡を継いで東インド会社に勤め、 アヘン戦争でスポークスマンとして暗躍して中国側に忌み嫌われた。日本に来るならこっちの方である。
十四295十五128-131
「ブリタニカ国際大百科事典・小項目版6」(改訂1984.TBSブリタニカ)・山本澄子「中国キリスト教史研究」(2006.山川出版社)・田中弘之「『蛮社の獄』のすべて」(2011.吉川弘文館) ・柳父章「ゴッドは神か上帝か」(2001.岩波現代文庫)
高野長英/渡辺崋山/水野忠邦

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