フランソワ・アレクサンドル・フレデリック・ドゥ・ラ=ロシュフーコー・リアンクール
フランス革命史の本に必ず出てきて例の名文句を言うが、いったい何者でその後どうなったのか全然わからない人。 このページを書くのには結構苦労したよ。
ラ=ロシュフーコー家は王家の次くらいに由緒のある大貴族で、フランス西南部に多くの領地を持っていた。 昔はマルシャック公と呼ばれていたが、17世紀の当主フランソワ6世が母方のデュ・プシレ家よりリアンクール領を相続しそちらが本拠になった。 この人が有名な箴言集を書いたラ=ロシュフーコー公爵で、まあ気の利いた事を言いたがる血筋だったのだね。
パリのリアンクール屋敷はフランス近代史を通じて文学者が集うサロンとなっており、ラシーヌからヴァレリーまで一流の知識人が常に出入りしていた。 社会の動きをいち早く察知できる環境にあったので、革命時のリアンクール公は時流に乗って「三十人会」に参加、国民議会の穏健派議員にもなった。 「革命でございます」発言のときは、どうも主君の危機に馳せ参じたというより革命派代表として因果を含めに来た感じである。 (国王の衣装係だったので私室に入る権利を持っていた)
元来あの革命の起こりは、 啓蒙専制改革を進めようとしたルイ16世と他の王族や大貴族との対立だった。保守派としては愚民を扇動して、 ちょいと王様をこらしめてやるつもりだったのだが、民衆はどんどん自立・暴走して旧体制そのものを破壊しだした。 リアンクール公も結局国外に亡命する羽目になってしまった。
ナポレオン時代になってから宮廷や貴族制も復活することになり、 どうやらリアンクールさんはフランスに帰って生涯を終えることができました。
十134
フュレ&オズーフ「フランス革命事典1・2」(1995.みすず書房)・ジャン=クリスチャン・プティフィス「ルイ16世」(2008.中央公論新社)・ 「ラ・ロシュフコー箴言集」(1989.岩波文庫)
ルイ16世/ナポレオン

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