カメハメハ
カメハメハとはハワイ語で「さびしい人」という意味である。18世紀中ごろに生まれ、1819年に崩御した。ツンベリーや最上徳内と同世代人である。
生まれてすぐアラパヌイ王に命を狙われたカメハメハは、よくある貴種流離譚を経てハワイ島の有力者になり、クック船長との戦いで負傷している。 そのあと従兄弟たちとの戦いに勝利してハワイ王となった。
カメハメハは数十人の外国人を雇い、洋式の軍船を作って銃砲を取り付け、ハワイ諸島統一に乗り出した。 諸外国がフランス革命とか寛政改革とかで忙しい隙にオアフやマウイを征服し、1810年までに統一ハワイ王国の大王となったのだった。
大王は偉くなっても増長しなかった。酒は好きでも度を過ごさず、みずからタロ畑で汗を流して働いた。白檀や砂糖を輸出し、タバコやパイナップルを移植し、ラム酒を醸造し牧場を作った。 伝統的な風習を守りキリスト教の侵入を防いだ。ハワイの家康と例えられるゆえんである。
大王は死ぬとハワイ島のどこか秘密の洞窟に葬られ、遺骨は今も行方不明である。 西洋人の書いた本では、彼は異人を利用して権力をにぎった狡猾な男とされている。しかし長い目で見れば結局ハワイは滅ぼされたのだから、やっぱり被害者に違いない。
十七130幕末二十二172-174
後藤明「カメハメハ大王・ハワイの神話と歴史」(2013.勉誠出版)・アルトン=プライヤー「ほとんど知らないハワイの歴史物語」(2012.風詠社)・ フランク=マクリン「キャプテン・クック世紀の大航海者」(2013.東洋書林)
サンドイッチ卿/キャプテン・クック/最上徳内

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