コサックとは黒海沿岸に住んでいたスキタイ民族末裔を基層とし逃亡兵などが混じり合い、ロシアの宗教とアジアの騎馬戦法を取り入れた、 民族というより一つの階層である。ロシア国家体制の周縁に位置し、ツァーリ個人との契約により戦争に協力する。
イェルマークはもとはロシア北部生まれで、 ドゥヴィナ川流域に移住してコサックの仲間になったらしい。数々の戦に功を立てるが、調子に乗ってペルシャの友好使節まで襲っちゃってお尋ね者に。 豪商ストロガノフ家をスポンサーにつけ、コサック900人とウラル山脈の向こうに高飛びし、シビル-ハン国を征服し皇帝に献上。これがシベリアの由来である。
正規軍がろくすっぽ援軍を寄越さなかったため苦戦におちいり、1584年に敗死。恩賜の鎧が重くて溺れたというのには異説もある。
彼の尊い犠牲によりストロガノフ家はシベリア経営でぼろ儲け、連日連夜パーティー三昧。そのパーティーのために創作された料理がビーフ・ストロガノフである。
五90-93十160
「ロシアのシベリア進出史」(2011.成文堂)・植田樹「コサックのロシア」(2000.中央公論新社)・小町文雄「ロシアおいしい味めぐり」(2004.勉誠書房)
イワン雷帝/モーリス・アラダール・フォン・ぺニョヴスキー

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