ルシウス=モデストゥス
ローマ五賢帝時代の建築技師。はじめは古い作風と見なされていたが、紀元128年に至って突如斬新な浴場を設計し、ハドリアヌス帝と市民に絶賛される。
彼の設計した浴槽は実用性と娯楽性を兼ね備え、ヴェスピオス火山の壁画を配置するなど大胆なアイデアで入浴者の心身を回復させた。また風呂本体だけでなく、 浴後に牛乳と果汁を混ぜた飲み物を提供する・洗髪時に目がしみないよう補助器具を発明するなど総合的なサービス産業を構築したのだった。
皇帝たちの信任を得たルシウスは各地に派遣され、温泉街の建設や軍の保養に活躍した。戦車戦にも長じていた彼は辺境の賊徒鎮圧に功績をあげ「平たい顔族」に感謝されたという。
年代的に考えて、ルシウスは2世紀中には亡くなったと推定される。21世紀の伊東温泉で目撃されたという話もあるが、たぶん何かの見間違いであろう。 死後イタリアですら彼の業績は忘れ去られていたが、日本人の研究家が独力で伝記を編纂し、マルチメディア展開で世界中に再評価をもたらしたそうだ。
幕末二十二131
ヤマザキマリ「テルマエ・ロマエ」(2009-2013.エンターブレイン)

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